1970年代、時代的にはデビアス主導でとっくに4Cが周知されていたはずですが、メーカさんの業者向けカタログで4Cが記載されてないものが普通にありました。
なぜ、そんなことがまかり通ったのか?
メーカーさんは、間違いの無い地金と石を仕入れる知識・目利きと言ったノウハウと仕入れルートを持っていないと
間違いの無い地金と石を仕入れる知識・目利きと言ったノウハウを持っていないと仕事にならない問屋さんから
相手にされません。
私どもの両親のような個人の宝飾品屋は、間違いの無い問屋さんから仕入れる事で間違いの無い品物と値付けを担保するというスタンスでした。(もちろん、業としてやってるわけですから年々目は肥えてきますが)
そして、品物が売れれば、コストをかけて鑑別書なり鑑定書を取るという段取りだったようです。
当然、万が一、鑑別書なり鑑定書を取った段階で価格に見合った品物でなければ、
ご購入を決めてくださったお客様に事情をお話させていただいて、
キャンセルかそれなりの価格に変更してのご購入かといった
ご再考をお願いするということになります。
もちろん、そんなことがあると、問屋さんは小売業者からの信用を失いメーカーさんは問屋さんからの信用を失います。
子供の頃、「どこそこの問屋さんが信用を失って潰れたとか、あそこのメーカーは素材が良くない」だのという話をしばしば耳にしていました。もちろんテレビや新聞レベルで。
それくらい、流通に介在する問屋さんの存在意義だとか価値みたいなものが一般の消費者にも認識されていました。
いつの時代も、いろんな業界でいろんな業者さんがいるもんですが、バブル前夜あたりからでしょうか「御徒町と言えば問屋街」というイメージを利用してのことでしょうね。「御徒町の問屋です。卸価格で販売してます」なんて事を一般の消費者向けにテレビCMしているところがあったりして、うちだけじゃなく何かしら商売をやっている家庭では「あれって問屋さんの体でやってるバッタ屋さんだよね」っていうような話が食卓で普通にありましたが。
「問屋」を名乗っているからといって信用していいわけではないと言うことになりますよね。
さらに、ここ数十年、問屋イコール中間マージン取ってるだけ。
問屋を通してない小売業者イコール無駄なコストをカットして消費者ファーストで良い物を安く提供している業者って印象操作がメディアでなされてましたね。
それがまた最近、メディアでは、例えばお寿司屋さんの話に絡めて「目利きの中卸さんとの信頼関係があって当店には間違いの無い食材が入ってます」的な話をされるオーナー職人さんがいらしたりして、信頼できる問屋さんの大切さが少し再認識されてきてるみたいですね。
もちろん、メーカー直販で良い物を安く提供している業者さんもいっぱいあります。うちの親戚も業界は違いますが、メーカー直販の商売やってます。
言うまでも無くメーカーさんの数より小売店の数の方が多いんですよね。
全ての小売店が、取り扱っている全ての商材をメーカーさんレベルで熟知するのは難しいんじゃないかな。
問屋さんの存在は欠かせません。
宝飾品の話でメーカーさんがどうだ問屋さんがどうだって切り口だとピンとこないかもですが、日用品で考えれば案外皆さん普段から「信頼できるメーカーさんから、間違いの無い品物を取っている問屋さんを通しているお店なら信用できる」っていうことを意識してらっしゃるんじゃないですか。
皆さん多かれ少なかれあると思うんですが、小売店とか量販店だのってお店で普通に物を買うときに、なんとなく「知ってるメーカーの品物だったら安心」みたいな気持ちってありますよね。そこで知らないメーカーの品物が激安品であった場合、そのお店の仕入れがちゃんとしているかってことを気にしませんか?
宝飾品も同じだと思うんですが。
どこぞのブランドの品物であれば、価値のある良い物なんだ。
(信頼できるメーカー)
どこぞの百貨店で買ったから良い物なんだ。
(信頼できる目利きバイヤーさんの仕入れ)
みたいなのってありますよね。
個人の宝飾店の場合は
間違いの無い問屋さんが間違いの無いメーカーさんから仕入れた品物を仕入れてる小売店が安く適正価格で販売しているという事をお客様に信用していただくということになります。
そこで、スペックの表記が不足していても
ちゃんとしたメーカーさんのカタログであれば、
ちゃんとした問屋さんから
小売に回ってきていたんですね。
うちの両親も
4Cが記載されてないダイヤモンドリングのカタログでも普通に仕入れていたようです。
因みに、ここで言うカタログはカタログ販売の為のツールとして素人さんにまでばら撒かれていたものとは違いますよ。
↓↓↓ こちらは、金・プラチナが安かった大昔のカタログで
4Cのうち記載されているのはカラットのみです。
価格はいわゆる下代(問屋さんが小売店に下ろす値段)です。